相続の“こじれ問題”を解きほぐすヒント
- 相続対策専門士 小山智子
- 7 日前
- 読了時間: 4分
更新日:4 日前
相続や家族関係でうまくいかないと感じる時、私たちはつい「誰かのせい」にしてしまいがちです。過去を振り返り、問題の原因を他者に求めてしまうのは、人間として自然なことかもしれません。しかし、本当に大切なのは、そこから一歩踏み込んで、「何が起きていたのか」「自分はどうしたかったのか」 を見つめ直すことだと私は考えています。

なぜ、こんなにこじれてしまうのでしょう?
相続のご相談を受けていると、このような状況に出会うことがあります。
家族との関係がすでに険悪で、話し合いができない。
何から手をつけていいかわからない。
こちらの話を全く聞いてくれない、話がかみ合わない。
弁護士が見つからない、または途中で辞任されてしまった。
こうした状況の根底には、ご本人が「今、自分がどこに立っているか」という感覚が抜け落ちてしまっているように感じることがあります。自分の立ち位置や状況を把握できていないことが、さらなる“こじれ”を生んでしまうのです。

「悪気なく」こじれていくケースも
相続に関するご相談の中で、よく「なぜこんなことに?」と感じる“こじれ”に出会います。特に厄介なのは、そこに悪意があるわけではなく、ちょっとした無自覚や配慮不足から生じてしまうケースです。
以前、こんなご相談がありました。会社を経営されていたお父様が亡くなられ、残されたお母様と3人のご兄弟で相続について話し合っていました。税理士さんからは「まずはご家族で話し合ってほしい」と言われ、長男の方が中心になって情報共有を進めていたそうです。
ところが、話し合いの途中で、三男の方が「情報共有のやり方に不信感がある」と言い出し、遺産分割協議が中断してしまいました。困り果てた長男の方がSOUDANYAに相談に来られたのです。
こじれの原因とは?
詳しくお話を伺うと、長男の方は良かれと思って兄弟間の調整役を務め、必要な情報を皆さんに行き渡るようにしていました。
長男の方には全く悪気はなく、むしろ率先して動いているつもりだったのですが、結果的に三男の方の不信感につながってしまったのです。もし、このまま話し合いがこじれていたら、最悪の場合、裁判にまで発展していたかもしれません。
SOUDANYAでは、こうした状況で長男の方に、「相手がどのように受け取るか」という視点を持つことの重要性をお伝えしました。例えば、情報共有の際は「この書類は〇〇のために必要で、△△の期日までに確認してほしい」と具体的に伝えること。
また、家族全員が同じ場で話し合う機会を設けることの重要性など、少しの工夫で円滑に進む可能性があることをアドバイスさせていただきました。
しかし、実際には、ただアドバイスをするだけでは解決が難しいこともあります。
このケースでも、三男の方の不信感を解消し、具体的な話し合いを進めるためには、SOUDANYAが中立的な立場で間に入り、状況整理のための資料作成や、話し合いの場の設定、情報伝達のサポートなどをきめ細かく行いました。
結果として、ご兄弟は無事に遺産分割協議を終え、相続税も期限内に納めることができました。
このケースは、まさに「悪気はないのに、なぜかうまくいかない」典型例です。家族間の相続では、法律や税金だけでなく、こうした心の機微やコミュニケーションの取り方も非常に大切だと改めて感じました。

“こじれ”の根っこにあるものに気づくために
SOUDANYAにご相談いただいたとしても、すべての方のサポートをお引き受けするわけではありません。ご本人が、自分にとって「整える時間」が必要だということにまだ気づいていないタイミングでは、良い結果に繋がりにくいからです。
でも、私はこう願っています。
このブログを通して、自分の中にある“見えていなかった何か”に気づけるきっかけ になるといいなと。自分にそっと目を向ける時間こそが、人生を静かに整えていく力になるはずです。
もし、今、相続や家族関係で「こじれ」を感じている方がいらっしゃれば、ぜひ一度、ご自身の心と向き合う時間を作ってみませんか?
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