こんにちは!相続対策士の小山です
相続においてトラブルが発生する要因の一つに、「価値観の違い」があります。
財産をどう分けるべきか、誰がどの程度受け取るべきかといった問題は、単に法的なルールだけでなく、それぞれの家族の価値観や信念によっても大きく左右されます。

今回は、価値観の違いが原因となる相続トラブルの典型例を見ていきましょう。
1. 「公平」と「平等」の違い
例えば、親が残した遺産を「法定相続分どおりに平等に分けるべき」と考える人と、「親の介護をしてきた人が多くもらうのが公平だ」と考える人が対立するケースがあります。
《Aさんのケース》
Aさんは、長年親の介護を続けてきました。
兄弟姉妹はほとんど介護に関わらず、遠方に住んでいました。
親の遺産を法定相続分どおりに分けると、Aさんは「自分の貢献が考慮されていない」と感じました。
兄弟姉妹は、「遺産は平等に分けるべき」と主張。
このように、「公平」と「平等」の捉え方の違いが、相続トラブルの火種となることがあります。
2. 「実用性」と「伝統」の対立
実家の不動産をどうするかについても、意見が分かれることがあります。
《Bさんのケース》
Bさんは、「実家は使わないので、売却して現金化したほうがいい」と考えています。
しかし、兄は「実家は先祖代々受け継いできたものだから、守るべきだ」と主張。
どちらの意見も一理ありますが、相続人同士で合意が得られないまま、実家は空き家のまま放置。
結果として、固定資産税がかかり続け、管理の負担が増大。
このように、「合理的な選択をしたい」と考える人と、「伝統や家の歴史を重視したい」と考える人の対立が、相続問題を長引かせることもあります。
3. 「感情」と「合理性」のギャップ
相続はお金の問題だけでなく、感情が絡むケースが多くあります。
《Cさんのケース》
Cさんの母親は、遺言書で特定の子どもに多くの財産を残すと決めました。
他の兄弟姉妹は、「親に可愛がられていなかった」と感じ、不満を抱きました。
しかし、母親には「その子どもが自分をずっと支えてくれたから報いたい」という合理的な理由がありました。
兄弟姉妹間で話し合いがもたれましたが、感情のわだかまりが解けず、関係が悪化してしまいました。
相続は、「合理的に考えれば納得できる」ことでも、感情的には受け入れられないことが多く、それがトラブルを生む要因になります。
まとめ
相続トラブルは、単なる財産分与の問題ではなく、それぞれの価値観や感情のぶつかり合いから生まれることが少なくありません。
では、どうすればトラブルを防げるのでしょうか?
早めに家族で話し合う – 遺産分割の考え方や意向を、親が元気なうちに確認する。
遺言書を作成する – 遺言書があることで、遺産の分け方に指針ができる。
専門家を活用する – 弁護士や相続コンサルタントのアドバイスを受けることで、冷静な視点を持つことができる。
感情を整理する – 価値観の違いを受け入れ、お互いの立場を理解しようとする。
相続は、家族にとって避けられない問題です。
しかし、話し合いを重ね、お互いの価値観を尊重しながら進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
相続について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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