親が元気な今、聞いておきたいこと
- 相続対策専門士 小山智子

- 2 日前
- 読了時間: 6分
親が元気なうちに、大切なことを聞いておかなければ。
そう思っていても、お金や財産の話は切り出しにくいものです。
けれど、子世帯としは「不安」から自分がしっかりと把握しなくては!と思い、最初から預貯金の額や保険の内容まで聞こうとしてしまいがちです。
そうすると、聞かれた方は根掘り葉掘り探られているような気分になってしまうことがあります。
そんな時はまず何からしたらいいのか?
今回は、親に警戒されにくい聞き方や、確認しておきたいもの、聞いた情報の残し方についてお伝えします。

緊急連絡先と大切な書類の「置き場所」を確認する
「親が元気なうちに、お金や大切な書類のことを聞いておいたほうがいい」
そう思っていても、親に財産のことを聞くのは、なかなか難しいものです。
「お金のことを探っていると思われないかな」
「まだ元気なのに、縁起でもないと言われそう」
そんな心配もありますよね。
だから、最初から預貯金の額や保険の内容を聞く必要はありません。
まず確認しておきたいのは、緊急連絡先と大切な書類の「置き場所」です。
救急搬送されたときに実感したこと
先日、私は体調を崩し、救急車で病院へ運ばれました。
私は一人暮らしです。
救急隊の方から家族の連絡先を聞かれましたが、そのときは具合が悪く、娘の名前や電話番号をきちんと説明できる状態ではありませんでした。
ただ、お財布の中に娘の連絡先を書いた紙を入れてあったので、
「ここ、ここ」
と、お財布の場所だけは伝えることができました。
娘の電話番号は、もちろんスマートフォンにも入っています。
けれども、スマートフォンにはロックがかかっています。
自分で操作できなければ、周りの人は連絡先を見ることができません。
この経験から、必要な情報は、自分が知っているだけでは足りないのだと実感しました。
自分が話せないときでも、誰かに見つけてもらえる場所に置いておく。
これは、高齢の親だけでなく、私たち自身にも必要な備えです。
金額より先に「置き場所」を聞く
親のことが心配になると、
「預貯金はいくらあるの?」
「どんな保険に入っているの?」
と、つい詳しい中身を知りたくなります。
しかし、いきなりお金の額を聞かれると、親は、
「私の財産を調べているの?」
と警戒してしまうことがあります。
親子であっても、お金の話には抵抗があるものです。
一方、急な入院や介護が始まったとき、最初に困るのは、財産がいくらあるか分からないことより、必要なものが見つからないことです。
医療機関を受診するときに必要なもの、お薬手帳、診察券、介護保険証、保険会社からの書類など。
手続きに必要なのに、家のどこにあるのか分からなければ、家族は探すところから始めなければなりません。
通帳の残高や保険の詳しい内容まで、すぐに見せてもらう必要はありません。
まずは、
「大切なものは、どこにまとめてあるの?」
と聞くだけでもよいのです。
親のプライバシーを守りながら、いざというときには探せるようにしておく。
これが最初の段取りです。
確認しておきたい3つの「置き場所」
一度に全部確認しようとすると、親も聞く側も大変です。
まずは、次の3つに分けて考えると分かりやすくなります。
1.医療や介護に関するもの
医療機関を受診するときに必要なもの
介護保険証
お薬手帳
診察券
かかりつけ医の連絡先
2.お金に関するもの
通帳
保険証券
年金関係の書類
3.実家に関するもの
権利証や登記識別情報
固定資産税の納税通知書
火災保険の書類
マンションの管理関係書類
そして、もう一つ忘れてはいけないのが、緊急連絡先です。
何かあったとき、最初に誰へ連絡してほしいのか。
家族のほか、かかりつけ医や近くに住んでいる親族など、必要な連絡先を確認しておくと安心です。
親に聞く前に、まず自分の話から
必要だと分かっていても、親には聞きにくいですよね。
そんなときは、親のことを聞く前に、自分の話から始めてみてください。
例えば、
「一人暮らしの人が、救急車で運ばれたとき、お財布に娘の連絡先を入れておいて色々と助かったって話を聞いたの。お母さんは、何かあったときの連絡先をどこかに入れている?」
このような聞き方です。
ほかにも、
「私も最近、保険や通帳を整理しているんだけど、お母さんは大切な書類をどこにまとめている?」
「もし急に入院することになったら、何を持っていけばいい? 置いてある場所だけ教えて」
と聞くこともできます。
大切なのは、「全部見せて」ではなく、「場所だけ教えて」から始めることです。
聞いたことは「何が、どこにあるか」を残す
置き場所を聞いたら、忘れないようにメモしておきましょう。
ただし、暗証番号などの重要な情報を、何でも一枚の紙に書くことは避けます。
最初は、
「保険関係の書類は、寝室の引き出し」
「実家の書類は、リビングの棚にある青いファイル」
「緊急連絡先は、お財布の中」
というように、「何が、どこにあるか」だけを一覧にします。
親の目の前でメモをして、
「これで合っている?」
と確認しておくと安心です。
置き場所を変えたときには、メモも更新します。
兄弟姉妹がいる場合は、親の了解を得たうえで、できるだけ全員が同じ情報を共有しておくことも大切です。
一人だけが詳しく知っている状態は、後になって、
「なぜ自分には知らせてくれなかったの?」という不信感につながることがあります。
通帳の残高や暗証番号まで共有するということではありません。
「何の書類が、どこにあるのか」
という基本的な情報を、家族で共有しておきましょう。
個人で仕事をしている人にも必要な備え
これは、親や実家だけの話ではありません。
個人で教室や事業を運営している人が急に連絡できない状態になったとき、家族は、お客様への連絡方法や今後の予定が分からないかもしれません。
元気なうちに、
「お客様への連絡に必要な情報は、どこにあるのか」
「自分に何かあったとき、誰に連絡を頼むのか」
を決めておくことも大切です。
もちろん、お客様の個人情報を誰でも見られる状態にするということではありません。
必要なときに誰が対応するのかを決め、その人にだけ、情報の置き場所や確認方法を伝えておきます。
はじめの一歩
まず自分の緊急連絡先を書いた紙を、お財布に入れてみてください。
書くのは、連絡してほしい人の名前、続柄、電話番号です。
そのことを親御さんに話して、
「私も緊急連絡先をお財布に入れたんだけど、お母さんはどうしている?」
と聞いてみましょう。
そこから少しずつ、大切な書類の置き場所についても話せるかもしれません。
一度に全部を確認する必要はありません。
今日は緊急連絡先、次はお薬手帳、その次は実家の書類。
何かのついでに一つ聞いて、また別の日に一つ確認する。
必要な情報は、知っているだけではなく、いざというときに見つけてもらえる場所に置いておくことが大切です。
時間をかけながら、親子や家族の間で少しずつ共有していく。
その小さな段取りが、いざというときの時間と心の余裕をつくります。




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