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離婚を決める前に整理しておきたい「家とお金」のこと

執筆者の写真: 相続対策専門士 小山智子
相続対策専門士 小山智子
8月22日
読了時間: 6分

「離婚したい」


そう思ったとしても、すぐに離婚届を出せば終わり、というわけではありません。

これからどこに住むのか。今の家はどうするのか。住宅ローンはどうなるのか。預貯金や保険は?離婚後の生活費は足りる?

実際に離婚後の暮らしを考え始めると、確認しなければならないことがたくさん出てきます。

厚生労働省の「2025年人口動態統計月報年計(概数)」によると、2025年の婚姻件数は48万9,119組、離婚件数は17万9,068組でした。

離婚は決して珍しいことではありません。

けれど、一つとして同じ離婚もありません。


特に持ち家がある場合は、感情だけで「住み続けたい」「売りたい」と決める前に、まず家とお金の数字を整理することが大切です。




私自身も、離婚を経験しました


私も離婚経験者です。

離婚当時、夫には借金がありました。


「うちには分けるような財産なんてない」

当初の私は、そう思っていました。


ところが調停の中で、自動車や貯蓄性のある生命保険、学資保険なども確認する必要があると知りました。


そこで初めて、

「借金がある=財産が何もない、ではないんだ」

と気づいたのです。


そこから、一つずつ自分たちの財産を調べ始めました。


この経験は、今の私の仕事にもつながっています。


離婚するかどうかを決める前に、まずは「自分たちには何があるのか」を見えるようにする。


それだけでも、その後の選択肢はずいぶん変わります。



まずは、夫婦の財産を全部並べてみる


離婚時の財産分与では、一般的に、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産が対象になります。


例えば、

  • 預貯金

  • 生命保険や学資保険

  • 土地・建物などの不動産

  • 自動車

  • 株式や投資信託などの有価証券

  • 退職金

  • 住宅ローンなどの負債

などがあります。


ここで大切なのは、

「夫名義だから私には関係ない」「うちは借金があるから財産分与なんてない」

と、自分だけで判断しないことです。


一方、結婚前から持っていた財産や、相続・贈与などによって取得した財産は、原則として財産分与の対象にならない「特有財産」と考えられます。


ただし、実際に何が財産分与の対象になるのかは、それぞれの事情によって異なります。

まずは「対象か、対象外か」を決めるより、夫婦にどんな資産と負債があるのかを全部書き出すところから始めてみましょう。


持ち家があるなら「家はいくら?」だけでは足りません


離婚相談で特に大きな問題になりやすいのが、持ち家です。

「私はこの家に住み続けたい」

そう考える方も少なくありません。


でも、その前に確認してほしい数字があります。

まず、

① 今の家はいくらくらいで売れそうなのか

そして、

② 住宅ローンはいくら残っているのか

です。


例えば、

住宅ローン残高が3,000万円で、家の売却想定価格が2,000万円なら、単純計算では1,000万円不足します。

反対に、

住宅ローン残高が1,000万円で、売却想定価格が2,000万円なら、単純計算では1,000万円の差額があります。

ただし、実際に売却する場合には仲介手数料などの諸費用もかかります。

つまり、

「家が2,000万円だから、2,000万円の財産がある」

とは考えられないのです。


また、査定価格は「必ずその金額で売れる」という価格でもありません。

だからこそ、持ち家について考えるときは、

家の価格+住宅ローン残高+売却にかかる費用

をセットで確認する必要があります。


「住み続けたい」と思ったら、名義と住宅ローンも確認


もう一つ、離婚前に確認しておきたいのが、

不動産の名義と住宅ローンの名義です。


例えば、

「夫名義の家に、離婚後は妻と子どもが住み続ける」

という話になったとしても、それだけで問題が解決するわけではありません。

家の所有者は誰なのか。住宅ローンの債務者は誰なのか。連帯保証人や連帯債務者はいるのか。住宅ローンを組んでいる金融機関との契約はどうなっているのか。

確認することがいくつもあります。


「夫がローンを払い続けて、私は住み続ければいい」

と夫婦だけで決めてしまう前に、住宅ローンの契約内容や金融機関への確認が必要です。


保険も「今いくらの価値があるか」を確認する


生命保険や学資保険も忘れやすい財産の一つです。


確認したいのは、保険金額だけではありません。

貯蓄性のある保険なら、

「今解約したら、いくら戻ってくるのか」

という解約返戻金を確認します。


ただし、財産分与のために必ず保険を解約しなければならない、という意味ではありません。

例えば学資保険なら、

「子どもの教育資金として、このまま残したい」

という考え方もあるでしょう。


その場合も、

誰が契約者なのか。今後誰が保険料を払うのか。受取人は誰なのか。

などを確認しておく必要があります。

離婚後に元夫婦で手続きをするのは、思っている以上に大変なことがあります。

離婚前に保険会社へ問い合わせ、必要な手続きや書類を確認しておくと安心です。


車も「誰が使う?」だけではなく資産として確認


自動車やバイクを所有している場合も同じです。


誰が乗るのかだけでなく、現在どのくらいの価値があるのかを確認します。

また、離婚後に一方がそのまま乗り続けるのであれば、

  • 車の名義

  • ローンの有無

  • 自動車保険の契約者

  • 保険の等級を引き継げるか

なども確認しておきたいところです。


保険の取り扱いについては契約状況によって異なるため、加入している保険会社へ確認しましょう。


離婚後の暮らしまで数字にしてみる


ここまで財産についてお話ししてきましたが、私はもう一つ大事なことがあると思っています。


それが、

「離婚した後、この収入で暮らしていけるのか」

です。


例えば、

「家だけは絶対にもらいたい」

と思っていたとしても、その家に住み続けるには、

固定資産税、修繕費、火災保険料、マンションなら管理費や修繕積立金などもかかります。


家という財産を手に入れても、その後の生活が苦しくなってしまっては困ります。

反対に、

「この家は手放したくない」

と思っていたけれど、家計を計算してみたら、

「売却して住み替えた方が、これからの暮らしには余裕ができそう」

と気づくこともあります。

だから私は、離婚するときに家だけを見て決めないことがとても大切だと思っています。


決める前に「家とお金の段取り」を

離婚を考え始めると、

「離婚するのか、しないのか」

という大きな答えを早く出さなければいけないような気持ちになることがあります。


でも、その前にできることがあります。

まず、

家とお金の数字をまとめる。

そして、

これからの暮らしを数字にしてみる。

そのうえで、


住み続けるのか。売却するのか。住み替えるのか。今はまだ動かないのか。


選択肢を一つずつ比べていく。


私は、自分自身の離婚でも、この「一つずつ調べる」という作業をしてきました。

最初から答えが分かっていたわけではありません。

調べたから、分かったことがありました。数字にしたから、選べたことがありました。

離婚は人生の大きな決断です。


だからこそ、

「どうしよう」と悩んでいるときほど、結論を急ぐのではなく、まず段取りから。

「この家、この先どうしたらいい?」と思ったら、そこから家とお金を一つずつ整理してみてください。

 
 
 

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